こんにちは、株式会社ヴィレッヂ三代目代表取締役の細川です。
弊社は、演劇を通してエンターテインメントを志す会社です。しかし残念ながら私個人は演劇より音楽、特に70年代ロックやモダン・ジャズのほうが好きです。ですが、そのくらいの距離感が仕事にはちょうど良いのかも知れません。たしかに、振り返ってみれば25年以上も演劇プロデュースを生業にここまでやってくることが出来ました。ほどほどの案配が大切です。
現在の会社の事業としては、演劇の企画・制作・興行はもとより、その映像展開としてのゲキ×シネ興行・パッケージ製作とその販売、そしてアーティストマネージメントまで複合的に展開しています。学生劇団の制作部を母体に、大阪の片隅で走り始めたその出自から眺めてみると、他に類を見ないのではないかと少しばかり自負しております。ほどほどの矜持も大切です。
さて、世界の状況は常に変化し続けます。それは、世界が生であるということです。そして演劇の本質は生です。つまり、演劇は否応無く世界に呼応しているということです。従って、演劇は世界を映し、危うい綱渡りのようにその瞬間それはまた世界に裏切られ、何度繰り返しても飽きることがない。“商い”の原点もここにあります。
だからこそ、私たちはこの“厳粛な綱渡り”に挑戦し続けます。

2010年に30周年を迎える劇団☆新感線の制作を行っております。昨今、驚くほど速く様々な情報が飛び交い、地方や東京、世界といった地域の格差をものともせず、情報は常に簡単に入手できるようになりました。演劇の世界に限らず、ありとあらゆる物事がその瞬間に広がりました。今まで狭く深いところにしか届かなかった情報が、広く新しい層にも届くことになり、演劇の世界は様々な観点からも、多くの応援を頂けるようになりました。
LIVEである演劇公演は、その時その場所その瞬間にいる人たちのみが共有するエンターテイメントです。同じ演目であっても全く同じものは二度と観ることが出来ない、ある種刹那的なエンターテインメントです。そしてよく考えると、演劇というものは世の中に溢れる身近な存在だということに気づきます。子供時代、学校に巡演していた演劇公演を観た、学芸会で劇をやったという経験は誰しも一つ二つあるでしょう。地元のお祭りや、風習の中にも、人が集まるところには何らかの演劇的な要素が求められています。それこそ、老若男女がみんなで楽しむためにです。
制作にたずさわって程なく、劇団☆新感線の座長であるいのうえひでのりが言いました。“芝居はハレだ!お客さんたちは、その日一日を楽しむために劇場という日常では無い空間に足を運び、体験する特別な日だ。だから楽しんでもらわないといけない!”と。その言葉は私の胸に深く刻まれました。終演後のロビーで交わされるお客様の“面白かったね”という言葉をお聞きすることができて、なおのこと、楽しみに来られるお客さまに“来て良かった!楽しかった!”という想いを持って帰っていただきたいと考えるようになりました。
物事はどんどんスピード化され、情報過多の飽和状態です。数多の中から見つけ難いことがあるかもしれません。しかし私たちは、手を変え品を変えても、良質のエンターテインメントをつくりこれからも発信し続けていきます。皆様が見逃すことのないように、特別な日をみんなで楽しめるように。

